「話はそれだけですか?」
「、あ、ああ…」
「なら、自分はこれで」
そう言ってさっさとこの場から去ろうとする新入り。
その瞳には一度も自分が映ることはなかった。
「ちょ、ちょっと待てよ。もうちょっと交流を深めようとか、そういうのないのか?仲間になるんだぞ?」
その言葉にぴたりと足を止めると、振り返らずに答えられる。
「―――必要最低限の交流は持ちます。それで充分でしょう?仲間と言ったって、自分はあなたたちとは違う」
「それってお前がイレヴンだからってことか?俺はそういうのあんまり気にしないぞ」
「それはあなただけでしょう?そもそも自分と仲良くしても、あなたには何の得もありませんよ」
容赦なくぴしゃりと撥ね付けられる。
その顔はどちらかと言えば人懐こそうな造作をしているというのに、一つも笑みを零さないせいで冷たい印象になってしまっている。
「損とか得とかじゃないだろう?友達ってのはさ」
「、と もだち―――?」
びくりとその肩が跳ねる。
その反応に、おや、と思うが、この際脇に置いておく。
「そうだ。俺はお前に興味がある。歳も近いんだし、友達になろうじゃないか」
「――――」
しばらく俯いていたかと思うと、それまでとは違い僅かばかり感情の含まれた声が返された。
「ともだちなんて、いりません」
「…なんで?」
それがどんな感情が推し量ってみた。
怒気はこもっていた。
しかしそれだけではない気がする。
「…なぁ。なんで?」
しつこいと思われようと気にしない。
こいつ相手には、こちらが諦めたらそこで終わりだとなんとなく直感で思った。
返事は更に時間が掛かった。
ふと見ると、とても強く手が握られているのがわかった。
根気強く待っていると、辛うじて聞き取れる程度のとてもとても小さな声が返ってきた。
「……かなしいことが、あったんだ」
「―――…?それは―――、あ」
質問を続けようとすると今度は聞いてくれず、足早に立ち去ってしまった。
けれどあえて追いかけようとはしなかった。
なんとなく、なんとなくだけれど、彼が泣いているように感じたので。
まあいい。
どうせこれからは否応なく顔を付き合わせることになるのだ。
もっと時間を掛けて知っていけばいい。
―――しかし、面白い人間が入ってきたものだ。
おかげでしばらく退屈せずにすみそうだ。
何一つその瞳に映すことはなかった美しい翡翠色を思い出しながら、ジノはこっそりほくそ笑んだ。
初ジノ。
まだ性格とかよくわかんないから思いっきり捏造で…。
スザクにかなしいことがあったんだと言わせたいが為に書いた小話。
ジノスザではないと言っておく(笑)。
あえて言うならルルスザ←ジノ?
けどルルスザも友情フラグぽいのでよくわかりません(自分で書いといて^^)。