※この話は端的に言うなら管理人的23.5話です。
ただ、管理人はルルファンなのでかなりのルル擁護話になっております。
そして多分管理人はルルに思いっきり夢見てると思います。
なので、22話・23話のルルが許せない、という方は読まない方が賢明です。
それでもいい方のみスクロールプリーズ。
ナナリー。
ナナリー。
どうか、どうかお前だけは幸せになってくれ。
最愛の俺の妹。
大切な、大切な俺の宝物。
その為だけに俺はただひたすらに邁進してきたのだから。
せめてせめて、お前だけは幸せになっておくれ。
もう俺はお前の傍に居ることはできないけれど。
それだけがほんの少し心残りだけれど、俺はそれでもいい。
お前さえ幸せになってくれれば、俺なんかはどうでもいい。
それに今となっては、俺はお前の傍に居ない方がいい。
俺の存在はきっとお前を不幸にしかしない。
だって俺はルルーシュだけど、ゼロだから。
ルルーシュはお前の兄であったけれど、ゼロは人々の希望であり絶望であったから。
この力を手に入れたことを後悔はしていないけれど、こうなってしまっては俺はゼロでいるしかないから。
お前にとって、俺は誇れる兄だっただろうか。
『もちろん、一番はお兄さまですけど』
嗚呼ナナリー。
あのときのお前のその言葉を信じているよ。
いつだって素直だけれどとてもとても優しいお前だから、決して人を傷付けるようなことはしないお前だから、きっとその優しさで嘘も吐いたかもしれないけれど、それでもその言葉を信じているよ。
それだけが俺の支えだ。
お前の気持ちだけが俺の支えだ。
お前の存在だけが俺の支えだ。
お前が幸せであることだけが俺の願いだ。
それは確かだったのに。
その願いに嘘偽りはなかったし、それは今でも変わってはいないのに。
何故今こんなにもお前が遠いんだろう。
離れなければいけないと思ったのは俺自身だけれど、そういうことじゃなくて、お前が遠い。
この高揚感はなんだろう。
目の前で全てが破壊されていくこの光景はさながら地獄絵図だというのに、何故こんなにも心躍るのだろう。
心の何処かで、俺がそれを望んでいたからなのだろうか?
もうそんなことは理解らないし、どうでもいいことだ。
この高揚感にナナリーが、何よりも何よりも大事なナナリーの存在が遠くなっていくのを自覚していても、そのことすらも霞んでいく。
そうだ。
心を捨てるのならそうでなければならない。
そうでなければ、こんな光景、哄笑って見ていられない。
全てを捨てて―――。
…捨てて。
―――スザク。
結局、俺たちはこうなってしまったな。
お前は、母が殺されてからの俺の人生の中で一番幸せだった時間を共有している人間だ。
だからきっと、あんなにも執着したのだろう。
お前は俺の友達で、俺はお前の友達だった。
この間お前はナナリーに言ったな。
僕とルルーシュが組んでできなかったことなどない、と。
そうだ。
だからこそ俺はお前が欲しかった。
俺の言うことを忠実に実行でき、それを疑うこともなく信じられたのは、お前しかいなかったから。
お前なら信じられた。
お前なら信じられたのに―――。
嗚呼でも。
お前はいつも俺にたくさん与えてくれていたのに、俺はお前に何もしてやれていなかったんだよな。
あのときだって。
マオに本心を暴かれたお前に、俺は何も言ってやることができなかった。
物語は必要だって?
莫迦か俺は。
そんな下らないことを言うくらいなら、いっそ何も言わない方がよかった。
あのときあいつが求めていた言葉は、きっとそんなものじゃなかったはずなのに。
いつもは必要以上に働いてる頭が、肝心なときには動いてくれない。
なんて役立たずな脳味噌だ!
あのときあそこにいたのがもしユフィだったなら、あいつを救えていただろうか?
俺の下らない言葉などではなく、もっと優しい、心洗われるような言葉を掛けてやれていただろうか?
すまないスザク。
俺はお前に本当に何もしてやることができなかった。
それなのにお前を求めてばかりいた。
例えそれがゼロの手だったとしても、お前がそれを拒絶するのは当然だ。
何もしてやれなかった俺の為に骨を折れだなんて、虫が良すぎたよな。
何も深くは訊かずにナナリーを助けるのに手を貸してくれたお前なのに、俺はお前を助けてやれなかった。
救ってやることができなかった。
多分、お前がずっと抱えていた心の闇から。
お前を、救ってやることができなかった。
彼女なら―――ユフィなら、それが、できたのだろうか。
できていたのだろうか。
今はもう、わからない。
―――不思議なものだな。
ブリタニア皇族の血に連なる俺がブリタニアを壊そうとしていて、日本人であるお前がブリタニアを護ろうとしている。
―――否、違うか。
お前が護ろうとしていたのは、お前が一番に護りたかったものは、もう居ないんだよな。
俺が殺したんだよな。
俺が。
俺が。
俺が。
―――言い訳をするつもりはないさ。
何を言ったところで、真実のところを語ったとしても、もう今となっては遅いし、俺の罪であることに違いはない。
けじめを付けたと言ったところでそれは俺の自己満足だし、ああする他にもう彼女を救う手立てがなかったと言ったところで、そもそもそれの原因だって俺の過ちだ。
彼女に、とても純粋で綺麗だった彼女にとんでもない罪を背負わせて、もうどうしたって取り返しはつかないし、やり直しもできないし、だったらせめて、俺の手で終わらせるしかないだろう?
せめてヒトのココロを捨てたゼロとして、それを利用するしかないだろう?
もう俺は進むしかないんだよ。
後戻りなど決してできない。
だったら、彼女の
ほんの少しの僅かな間だけでも、彼女と手を取り合うことができていたことなど、忘れてしまうべきだ。
ユーフェミア・リ・ブリタニアは日本人を裏切りゼロがそれを粛清した。
それで、いい。
でも、だから、スザク。
お前だけは。
お前だけは俺を赦さないでいい。
お前には俺を裁く権利がある。
お前には俺を憎む権利がある。
だからお前は俺を赦さないでいい。
お前が俺に刃を向けると云うのなら、俺はそれを受け入れよう。
お前にはその資格があるのだから。
ただ一人、お前だけが。
ただ俺はもうルルーシュではないから。
ゼロである俺は、お前の敵だ。
卑怯で、冷徹で、残酷なゼロだから。
ただゆるりとお前の刃を受け入れてやるわけにはいかない。
俺を殺しに来るお前を、敵の首魁として迎え撃とう。
俺は本当にお前になら、殺されてもいいと思っているんだがな。
他の誰でもない、お前になら。
―――友達と。
まだ、お前は俺を友達と言ってくれるんだな。
例えそれがもうお前にとって過去のものであったとしても、なんらかの意図を持ってしての嘘だったとしても、上辺だけのものであったとしても、それでも、その言葉が、嬉しい。
俺の言葉にだって嘘はなかったよ。
お前を友達だと思っている。
七年前からずっと、友達だと。
本当の意味での友達は、お前一人だと。
俺の、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアでもなく、ルルーシュ・ランペルージでもない、ただのルルーシュを、本当のルルーシュを知っている友達は、お前一人だから。
だからこそ共に居て欲しかった。
そうだ。
どんな御託を並べたところで、所詮はただそれだけのことだったんだ。きっと。
本当の俺を知っているお前に傍に居て欲しいと、ただ、きっと、それだけのことだったんだ。
七年もの時間を取り戻せるとは思わない。
離れていた間にお前は変わってしまった。
それでも、また共に居れば、傍に居れば、近付けると。
昔のように戻れるかと、そう、思ったんだ。
だって変わってしまったお前だけれど、それでもやっぱり本当の俺で在れるのは、お前の前でだけだったから。
ずっとルルーシュ・ランペルージを演じてきた俺だけれど、お前の前でだけは相変わらず、昔のままのただのルルーシュで在ることができたから。
だから俺にはナナリーとお前さえ居ればよかった。
何よりも大事なナナリーが居て、本当の俺を知っているお前が居て。
俺は、本当にそれだけでよかったのに。
例え俺のただのエゴだったとしても、そうであって欲しかった。
だけれど、お前はユーフェミアの騎士になった。
お前に拒否権はなかったのかもしれないけれど、それでもお前はその道を選んだ。
お前は意思ある一人の人間で、それを制限することなどお前自身以外の誰にもできるはずはなかったのに、俺はお前に裏切られたと思った。
俺たち兄妹を、裏切ったと思った。
それは俺のただの希望であり願いであったにも関わらず、俺はお前に裏切られたと思ったんだ。
多分、きっとそれがそもそもの間違いだった。
お前は俺の友達だけれど、もちろん俺の人形などではない。
お前が俺の思うとおりに動かなかったとしてもそれは当たり前のことで。
どうしてそれに怒りを覚えてしまったんだろう。
お前が自分で決めて選んだことなのに、理不尽にも勝手に怒って、勝手に諦めて。
俺は馬鹿だっただったのだろうな。
完全にただの独り善がりだった。
お前の意思など全く無視していた。
そんなことが許されるはずもないのに。
ただのエゴを押し付けようとしていた。
それの報いが、これだ。
お前は完全に俺から離れてしまったし、最早友としてもお前の中ではいられないのだろう。
そして大事な大事なナナリーにも、もうきっと二度と逢えない。
止まることを知らなくなってしまったこの力のせいで、もう俺の傍に居るのは魔女だけになった。
そのお陰でせめて、最初に魔女が言っていた王の孤独とやらからは救われているのだとしても、それでも、これはやはり、孤独だ。
俺は本当に独りになってしまった。
後戻りできないのが理解っていても、それが少し、寂しい。
俺はこのまま修羅の道を往く。
ココロは捨てて。
全てを捨てて。
全てを忘れて。
本当に大事なものは、大事だったものは、蓋をして、ひっそりと隠してしまって。
ゼロとして。
たった独りで。
―――ただ、一つ。
もし、願いが叶うのならば。
些細なことでいい。
一つだけ、叶うことがあるのならば。
また、三人で。
ナナリーと、スザクと、俺と、三人で。
たった一度でいい。
また、三人で、お茶を、飲みたい。
あのクラブハウスのバルコニーで。
他愛もない話をしながら。
ナナリーが微笑っていて、スザクも微笑っていて、俺は、それをほんの少し離れた場所から黙って見ているんだ。
きっとそのときの俺の顔は馬鹿みたいに緩んでいて。
木漏れ日が差していて。
小鳥の囀りが遠くに聞こえて。
とても暖かくて。
太陽の匂いがして。
ときどき優しい風が吹いて。
それはなんて。
嗚呼それはなんて、幸福な光景なのだろう。
まさしくそれは俺が望んだ、至上の喜び。
至上の幸福。
―――もう叶うことなどないのは、理解っているけれど。
ただの夢物語でしかないのは、理解っているけれど。
それでも、願わずにはいられない。
できるなら、あの頃に。
それを当たり前としか受け止められなかったあの頃に。
戻り、たい。
今なら。
今ならきっと。
それを得難い、とてもとても大切なものとして扱えるから。
大きなものなど見ず。
遠くなど見ず。
近くにある、些細だけれど、ふとしたことで取り零してしまう、小さな小さな幸せを、しっかりと見つめることができるから。
しっかりと、抱きしめることができるから。
もう、二度と叶わぬ夢だけれど。
もう二度と、得られることなどないのだけれど。
もう二度と。
もう二度と。
―――だから。
せめて、人間らしく
以前とある携帯ギアスサイト様で、22話・23話のルルをボロックソに言ってる方がいらっしゃって。
思うのは自由だけど誰が読むか分からないところに(例え自サイトの日記だとしても!)書くのはよくないよね…と思ったりもしましたがそれはさておき。
そこまで言わんでも…!と思ったのが、これを書き始めた切っ掛けです。
しつこいようですが管理人はルルファンです。
もちろんルルのしたことは、例え事故だったとしても赦されるものではありません。
彼がどれだけそれを悔いたとしても、贖われるものではありません。
だってやっぱり一番可哀相なのはユフィだと思うから。
彼女は本当に日本人のことを思っていたのに、その日本人から憎まれて、彼女が本当にしたかったこととは真逆のことで歴史に名を残してしまうのだから。
けど、ルルももう罰は受けていると思うんです。
ギアスの暴走で彼は本当に孤独になってしまったし、ユフィの行動の真実を知っているのは彼とC.C.だけだけれど、もちろんそれを明かすわけにはいかなくて。
真実を知っているのにそれを明かすことができない。
その罪すら明かすことができない。
スザクのように懺悔すら、することができない。
たった独りで、それを抱えていかなくてはいけない。
きっと、一生。
それが、もう充分な罰だと思うんです。
赦してあげて欲しいとは言いません。
彼だけに同情することも、しません。
けど、まだたった17歳な彼が押し潰されそうなものを背負って、それでも自分の大事なものの為に必死になって。
ナナリーはともかく、スザクには彼のその想いすら伝わっていなくて。
せめて報われて欲しいと思うんです。
私が彼に対して祈ってるのは、そういうことなんです。
上記に挙げたサイト様は、ルルに泣く資格はないとまでおっしゃっていたので…。
彼は本当は優しい人だと思うので。
涙を流すことくらいは、許してあげて欲しいんです…。
所詮私はルルファンです…。
ちなみにこの話(通称管理人的23.5話(笑))ともう一つを、片隅の片隅の方とはいえ世に出したいが為にこのサイトを作ったってのはここだけの話…。
どうでもいいですがタイトル、付けてからだいぶ経って23話サブタイに似てることに気付きましたが、狙ってたのはそっちではなくて某エヴァ…。
それと、この話のヒントになった…ってわけでもないんですが、影響を受けた歌があります。
矢野絢子さんの「ひとさじ」という歌でして、とってもここに詞を載せたいところなんですが流石にNGだと思うので断腸の思いで断念…。
歌詞掲載サイトでも載ってないのでURLの記載すらできない…(涙)。
もし知りたいという方がいらっしゃったらお気軽にメール下さい…。メールでお教え致します…。
レンタルショップでアルバム探すのも手です。アルバムタイトルは「ナイルの一滴」。